入学前にご受講いただいている基礎講習の時、必ずお伝えしていることがあります。
「私は、皆さんお一人お一人とじっくり向き合って、
10年でも20年でもご指導し続けられるだけの技術と知識を身につけてきました。
長いお付き合いになったらうれしいです」
これを伝えるのは「賭け」です。
基礎講習を受講される方は、入学を決めた方ばかりではありません。
検討中の方も多く受講されます。
「そんなに長くやんないと上手になれないの?」
と、尻込みしてしまうかも。
「やっぱりカリグラフィーやめておこうかな」
「違う学校にしようかな。」
そう思われてしまうかも。
捉え方によっては、全くの誤解を受ける危険もあります。
できれば言いたくないです。
それでも、あえてお伝えすることにしているのは、
小さな期待と夢があるからです。
皆さんは、モジ・アカデミアに入学されたのち、
各々の希望に合わせて学んでくださっていいんですよ。
とりあえずチャレンジしてみて、
短期間だけ楽しむだけでもいいんです。
それも経験です。
みっちりぎっちり自分を追込んで学んで、
本気で本物の専門家を目指すのもいいと思います。
素敵です!
でも、
モジアカ生の大半の方はどちらでもありません。
ゆるゆるとペンを持ち続けて、興味に従って学び続け、お友達ができて、居心地が良くなって、、、。
それでいいのです。
「気がつけばクラスメイトとも先生とも長いおつきあいになったなぁ」
「もしかして私、けっこう上手になってる!?」
そんな感じになってくれたらうれしいなぁと、私は思っています。
そしていつか、
「少なくとも自分の周りは、みんなカリグラフィーという言葉を知っている!」
そんなことを皆さんは感じるんです。
文化はそんな風に引き継がれていくものだと、私は思っています。
ありがたいことに、
一緒にお仕事をしたりサポートしてくれる位に生徒も育ってきました。
いつか私が書けなくなっても、
後を引き継いでくれる人が現れるかもしれません。
私は、待っているんです。
焦りません。
恩師Muriel Gaggini先生が教え続けて20年が経った頃、
プロとして人生をかける覚悟を決め実行し軌道に乗せた人は、ほとんどいませんでした。
あの方をもってしても、それだけの時間がかかったことを、
私がたった10年でできるとは思っていません。
だから長期戦なの☆
繰り返しますが、
私自身は、「プロとして仕事に就く人」だけが
「文字の歴史を引き継ぐ者」だとは考えていません。
書き続け、魅力を伝え続け、知識と技術を形にし続けること。
そうして次の世代に思いと記憶記録をつなげること。
それこそ、大事な歴史の一部になることだと思っています。
私のパートナーになってくれる人や、
同じようにカリグラファーとして活動する後輩がたくさん現れたら
そりゃ!うれしい!
育てて羽ばたかせる努力義務も私にはあります。
でも、
もし、
現れなくても。
それでも文字の歴史は繋がれていきます。
私は
「いま、自分がしている事には意味がある」
そう信じられます。
それってとても素敵なこと。
幸せな事です。
そう信じさせてくれるのは、他ならぬ、かわいい生徒さんお一人お一人です。
目を輝かせ、息を詰め、指先に全神経を集中させ、そして時折ホッとしたように笑い出す。
そんな皆さんが、今の私の夢で、未来で、全てです。
諸々の思いを込めて、
冒頭のちょっと重めの宣言を「すてき!」と感じてくださる方に来ていただきたい。
そんな風に思っています。
長いお付き合いになりますように。
想いを合わせてくれる方と、人生のキラキラ部分を共有できますように。
紫陽花の持つ花言葉のひとつ、
「辛抱強い愛」に願いを込めて。
※コロナ禍に入る前の写真も使用しているので、マスクを着用しておりません。
以上、
カリグラフィー工房 ヤヨ・カリグラフィー および
カリグラフィー教室 モジ・アカデミア の
カリグラファー 西村弥生 でした(^ー^)
次回も
東京・南青山の工房 兼 教室より、
文字から始まるステキ生活をお届けします!
yayo