【ご挨拶】モジ・アカデミアは11年目に入りました
9月は節目の月です。
私がカリグラフィーを始めたのも、教室を始めたのも9月。
5年前の今日は、南青山に移転のため旧銀座工房の部屋のカギを返した日でした。
9月、いろいろあったな。
カリグラフィーをはじめてからのアレやコレやを思い返しています。
せっかくなので、私の思い出話と、今の気持ちを残そうと思います。
長いですがよかったら読んでくださいね。
- 過去写真も使用しましたのでマスクをしていない物が含まれていますが、現在は入室前からのマスク着用を守って頂いています
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15年近く前のことですが
「あなたの文字はまだ熟していない」
と、恩師Gaggini先生に言われた事があります。
他人と違う試みがしたくて、
ちょっと挑戦的(だと自分では思っていたけど勘違いだったな)な作品に挑戦したり、
めったやたらと派手に文字を書いてみたりと、
王道を進む辛さと地味さから逃げた私を戒めてくださりました。
厳しかったーーー!(当時はね)
でも先生に憧れて足を?指を?踏み入れた世界、厳しさは優しさでした。

先生、お元気かな。
相変わらずお綺麗なんだろうな。
先生は今でも特別です。
ずっとずっと憧れ続けています。
そしてあの日々を思い出すとポロポロ涙がこぼれるほど感謝しています。
緊張してしまって軽い気持ちでは近寄れない人。
そしていつまでも大好きな先生です。
今はこの思いを伝える機会がなかなか得られないのが寂しいです。
(チャンスあったとしても泣いちゃうから言えないよ、私。感極まると止まんないのよ。弱虫なのよ。)

今でも時々、1週間ふとんにめり込むぐらい(笑)怒られたいです。
せめて、空っぽのマグを4時間呆然と見つめるくらいには落ち込ませて欲しい。
真っ青で無表情になった私をクラスの友人達がお茶に誘ってくれる、
そんな日常が懐かしいです。
誤解されそうですが、優しい方なんですよ。
でも自分のダメさを思い知るには充分すぎるほど正しく厳しかったんです。
私がそれを求めたので、返してくださった。
干支一回り以上かけて手を抜かずに育てて頂けたことは、この上ない幸せでした。
多くのクラスメイトが去っていきました。
去る者は追わない先生から「もぅいい」と言われるまで去らなかった自分も褒めたい。
「もういい」と言われても食い下がった私、えらかったよホント。
そうだ、私がんばった!

先生の言葉は今でも私の指標です。
「バランスは美です」
「確認した?したの?本当に?」
「目にした全てが正しく美しいとは限りません」
「基本が書けないのに何してもムダ」
「本物を見るの。偽物は気持ち悪くなる」
そしてある日、
ちょっと経験も自信もついて、いい気になって、
基本を疎かにした時に言われたのがコレです。
「あなたの文字はまだ熟していない」
ごもっともすぎて、頭頂部で地面を穴掘りしそうでした。
だって私が憧れたのは、まさに「熟した文字」だったから。
そして、自分がまだまだだという事は、本当は自分自身が一番よくわかっていたから。
その「まだまだ感」から逃げたかったのを見透かされたから。

先生に
「わたくし、こんな(ヘタな・間違った)の教えていません」
と言われるのが、今でも怖いです。
見てくださってるはず。
いつもじゃなくても、時々は気にかけて下さってるはず。
そう信じているので、私は文字だけは真面目に書きます。
筆だけは真剣に握ります。
他の何がどれだけヘタレでも!

『 高めて伝える 』
それが先生への恩返しです。
カリグラフィー教室モジ・アカデミアは、この9月から11年目に入りました。
銀座で5年、南青山でも5年が経ちました。
教え続けて丸10年経って今、
先生の続けて来られれたことの凄さとありがたさを、改めて実感しています。
私は先生とは違うタイプの先生で、
ゆるゆるダメダメな部分を許してくれる生徒達と、見守ってくれる温かい方々の優しさに支えられて今日まで続けてきました。
皆さん、本当にありがとうございます。

かわいくて愛しい生徒達。
せめて文字の技術と知識だけは本物をあげたいです。
そして、私の精一杯の愛と真心を贈ります。
昔の私より上手な生徒がいっぱい。
私の自慢です。
ダメ子だった私が今、プロのカリグラファーとして生きています。
私に約束できることは少ないです。
各種の資格をあげることは簡単ですが、
「プロになれる」とはお約束できません。
注:
ここでいうプロは、「自分の生活と専用事務所を維持できるレベルで収益をあげられる」レベルのプロです。
顧客のどのような要望にも怯まない自信と技術を持っているプロです。
名乗って活動を始めるだけなら誰でもいつからでもできます。
でも、もしついてきてくれるなら、
少なくとも私と同じレベルにはして差し上げます。
そして、一生飽きない喜びを差し上げます。
これだけはお約束できます。
商売下手な私より、大きく羽ばたく方も現れたりするかな♪

ここからの10年も胸を張っていられるように。
生徒の皆さんに幸せを感じて貰えるように。
これからも、
「真摯に学び続ける」
「丁寧に作り続ける」
そして
「大切に育て続ける」
独立の時に自分とした、この3つの約束を私は果たします。
11年目のモジ・アカデミアもよろしくお願いいたします!

以上、
カリグラフィー工房 ヤヨ・カリグラフィー および
カリグラフィー教室 モジ・アカデミア の
カリグラファー 西村弥生 でした(^ー^)
次回も
東京・南青山の工房 兼 教室より、
文字から始まるステキ生活をお届けします!
yayo